年を重ねていく度に『母が怒りやすくなった』『頑固な母になった』『忘れっぽくなった』という話を身近な方から耳にします。
私の母も父が他界してから、日に日に別人のように老いを感じられるようになりました。
老いは肉体だけでなく精神にも及んできますが、親の老いる姿を子が知っていくことの大切さは、私自身が親を通して学んだ出来事でもありました。
親が年を重ねてくると、怒りぽくなったり、頑固になったり、五感の感覚が弱くなってきた事に気付いた時に、親の老いを理解することで親子が悲しむ出来事が最小限に抑えられることを学び、母との大切な思い出作りとなり、自分が老いる時の身近な人達との大切な関わり方を体感させてもらいました。
しっかりした親も老いは来る
しっかりしていた親が、
- 忘れぽっくなる
- 怒りやすくなる
- 同じ洋服を何日も着続ける
- 汚れた部屋で生活
- 体臭を感じる
など信じがたい光景を目の当たりにすると子供達に動揺が起こります。
知り合いにも『あんなにしっかりしていた母が父が、別人のように…』という声を聴きます。
日頃、大らかなご両親であればそれほど驚かないかもしれませんが、整理整頓され綺麗好きで多方面にしっかりされている両親の様変わりに驚きが隠せない感じです。
私の父は87歳で亡くなりましたが父も母も健在の頃、父の腰が少し屈み始めたかなくらいで、二人は老人とは思えないほど子供に頼ることもなく自分たちでしっかり生きていました。
実家に帰省しても草もなく庭木も手入れされ、部屋も片付いていて食事や洗濯も日々変わりなくしておりました。
そんな両親でしたが、父が亡くなって1年が経ち2年が経ち始めた頃から、母(7歳年下)の様子が変わってきました。
母親が変わり始めた様子
母は人と接していることが好きな人で、よくご近所の方が家に遊びに来ていました。
家族が食べる野菜分を作ってお裾分けする事が大好きで、幸せなことに私達家族は新鮮な野菜を食することもでき感謝でした。
父が他界してからは母が好きだった野菜作りやお裁縫や外出はほとんどしなくなり、ご近所の方との交流も徐々にしなくなっていく頃に、母の様子が変わっていきました。
年老いていく母の心身の変化
- 怒りっぽくなる
- 頑固になる
- 過去の辛かった話をする
- 愚痴が多くなる
- 物忘れが酷くなる
- 汚れが気にならなくなる
- 五感の感覚が衰える
父が他界してから、一人でするいろいろな作業が寂しかったり、辛く感じるようになったらしく、ちょっとしたことに怒りっぽく愚痴が多くなりだしてから徐々に母の様子が変わって言った記憶があります。
私の母だけでなく、身近な方もご主人が亡くなってからやる気が萎えてしまって、仏壇の前に座ったままであったり、料理好きから毎日お惣菜に変わったり、五感の働きが目に見えて弱くなった話も聞きました。
親の心の面や身体の面が老いていく状況を身近にいる子供や孫が知り補助する事で、老いていく親の不安を和らげることにもなりました。
親が年老いていく心身の変化
親の様子がおかしいと気付き始める言動には、物忘れが多くなり、今までやれた事ができなくなってきたり、五感の感覚が弱ってくるなど、親の体のどこかに問題があってはいけないため診察してもらうと軽度認知障害と診断される事例は多い事を聞かされました。
私の母も軽度認知障害と診断されました。
親の老いを感じ始めると以前の親のイメージと異なる為、子供もショックを隠せません。
老いてきた親が老いを受け入れにくくなると
頑固になったり
ちょっとしたことで怒りっぽくなり
怒った後は体調を崩し
一点をぼーっと見つめていることが増え
自己防衛本能が働く
のではないかと思わせる言動も多くなっていました。
1.怒りっぽくなる
老いるという事は、多方面に置いて衰えてきますが、人に頼ることもなく一人で何でもこなしてきた人にとっては、とても辛い出来事のようです。
私の母も叔母もしっかりしていて何でもできる人でしたから、人から頼られることが多かったせいなのでしょうか、頼ることが案外苦手なタイプのように感じます。
何でもできる
やれる人にとって
できなくなる事
頼らなければ
ならなくなっていく
自身が辛いように
見えました。
子供が親にできる事は、
素直にお願い事が言えない事を理解して、母が困らないように買い物に誘ったり、運動不足だからと家の中の掃除を手伝わせてと言っている内に、母の方から手伝いに来て欲しいと連絡が来るようにもなりました。
手伝いに行っても頼まれたこと以上の事は決してせず、怒らせるような傷付く言葉は避けるように気をつけていました。
2.頑固になる
物事が上手くいかなくなったり、話が噛み合わなくなったり、理解力が低下したり、やりかけた用事が途中になっていたりと今までとは異なる行動に否定的な言葉を投げかけると「やろうと思っていたのに…」「やってない」「言ってない」と心を閉ざさせることになります。
台所の火をつけたまま外の片づけをして、お鍋を焦がしてしまっても「早く気が付いてよかったね」という言葉を言うことの大切さは、年を老いた親には優しく心に響いていくことになり、自身を守る為、頑固にさせてしまう周りの環境もある事も知ることになりました。
母自身で身を守ろうとした言動に周りが摂らせてしまっていたのではないかと反省させられることもありました。
3.過去の辛かった話をする
若き頃の母の愚痴や不満を耳にしなかった子供にとって、過去の辛かった話はもう済んだことなのに、今更、言う事もないように思ってしまいましたが、母の心の中ではまだわだかまりがあったようでした。
私たち子供の広い心や豊かさの無さを痛感させられたことは、昔の辛い出来事を包んであげられず、母の苦しみを分かってあげられなかったことで、更に辛かったことを整理できずに同じことを繰り返させてしまったことに気付かされることにもなりました。
4.愚痴が多くなる
人は決して強い生き物ではないかもしれませんが、愚痴は愚痴る本人も周りで聞く人たち皆、心も顔も暗くさせてしまうことを改めて知ることにもなりました。
言う側も聞く側も大変疲れてぐったりしてしまい、やる気がなえることを教えてもらった気がします。
人は愚痴っぽい生き物だとは思いますが、愚痴る事より楽しく明るい夢のあることをしていたいものだということを実感させられ、
『母からの最後の教え』
として体験させてくれた学びであると思っています。
5.物忘れが酷くなる
物忘れが激しくなったときの母の顔は今も覚えていますが、不安と悲しみに満ちた表情でした。
物忘れが進み始めた頃は、母自身が辛く感じられました。
料理をしていて火をつけた状態で外に出てしまうことが何度も続いた時には、母自身が『私、馬鹿になってしまったかもしれない』と寂しそうな顔は印象的でした。
物忘れがひどくなったことを受け入れるようになったころから、周りとの関係が少しずつ上手くいくようになり、母の素直で正直な姿が少女のように印象的に残っています。
物事を忘れていく自分の姿を受け入れていかなければいけないことを理解した時の母の言葉は「いつもありがとう」の言葉になっていきました。
6.汚れが気にならなくなる
清潔で綺麗好きな母が、汚れを気にならなくなっていった頃には、近くに住んでいる子供たちが手伝いに行くことで家の内外は片付くようになっていました。
同じ洋服を毎日着ることや汚れた衣類も気にならなくなっていることも視力が低下し白内障になっていることにも関係がありました。
体力的にも冬になると寒さが辛くお風呂を遠ざけたり、いろいろなことを一人ですることが辛く面倒にもなるようです。
7.五感の感覚が衰える
年を重ね五感の感覚が衰えてくると、料理についても視覚や味覚が落ちたのかと思わせるような出来栄えであったり、味付けであったりします。
片付けや掃除も物がはっきり見えなくなり面倒と感じるようになる事から、ほこりがあったり整理整頓が上手くできなくなるようです。
聴覚も衰えることで、テレビの音量も高くなり、会話の声も徐々に大きくなっていきました。
冷蔵庫の中には賞味期限切れの食品を確認したりすることもありました。
実家の近くには二人の姉がいましたから、毎日のように母の様子を見に行ってくれていましたので安心のようでした。
まとめ
老いていくことで脳の認知機能の低下は、記憶力や理解力・判断力が下がってくることを、67歳になった私自身が孫といて感じるようにもなり始めています。
若き頃の母の記憶、老いた母との記憶は、私たち子供にとって最も大切なことを最後教えていってくれる、『最高の師匠』なのではないかと教えてもらいました。
年老いた母を大事にしていきたいという気持ちが、たくさんの人と関わり体験談を聞く機会をもらったり、いろいろな書物も読むことになりました。
私も初老(寿命が延びて現在60~70歳説)ですから、周りとも関わり方の大切さを多くの人から教えてもらう中、最も参考になった人は、父と母であったように思います。
父も母も晩年に、
『ありがとう』
『笑顔』
を残していってくれたことは私にとって人生の指針でもあります。
今後も、身近な関係者・環境や大自然に感謝しつつ、多方面に喜んでもらえる言動を通し、自分を大切にしながら日々関わる全てに感謝して笑顔で生きていきたいと思っています。
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